別に変わらない日常
地元熊野市に帰省
1年間のニュージーランドの生活も終わりを迎えた。
大阪、京都で少し遊んだ後、地元の熊野市に戻ってきました。
ニュージーランドに行ってきた人達からは
「何もなくて良いところ。」
という風に良く聞く。
僕の地元もニュージーランドの「何もない。」という感覚に近い
厳密に言えば自然しかない。
街で生まれ育った人と、僕みたいな地方の田舎に住んでた人が行くニュージーランドの印象では
視・聴・嗅・味・触
五感全てにおいて異なるだろう
僕は生まれ育った熊野とわりかし似た感覚で生活してた。
もちろん言葉も食べ物も違う訳だけども、言葉では言い表しにくい「感覚的な部分」では近しいものを感じていた。
海外もいいけど
日本の地方にも改めて目を向けようと思う機会にもなった。
しかし帰ってきてからは早朝から夕方まで海にずっといる。ほんとに冗談じゃないくらいずっといる。夕方帰ってきては獲ってきた食材を使って酒盛り。
アカハタ。新規開拓中のポイントのひとつ
ある日の肴、剁椒魚頭(ディオジャオユートウ)
アカハタの唐辛子蒸し。たまには変わりダネも。
辛味が癖になり、箸とビールが止まらない!
そして毎晩倒れるように眠る。
朝日が昇る前に起きて浜辺に立ち、長い年月をかけ磨いた腕で竿を振る
海に潜り食いたい魚を突く。
波がある日は波に乗る
僕はあるがままに、我が儘に生きる。
文句言いたきゃ言えっての。笑
その一皿の「理(ことわり)」と「想い」
半年以上前にウーフ先でお世話になったステイ先のマダムに言われた
「ジャパニーズシェフ、あなたのスペシャリテは何?」
その問いに僕は何も答える事は出来ずに
魚料理なら基本的に〜
とか
その時は無神経で曖昧な返事しかできなかった
(今も全然話せないが、英語も駄目駄目だった)
でも、その後ずっと、スペシャリテって何だ?と
心に引っかかっていた
そのくらい彼女は
なんというか、、
自分の心まで見透せているようだった。
「貴方に課題を与えているのよ」
別にそんな事言われてないんだけど
僕にはそういう風に思えて、、
例えるなら小骨が喉に引っかかるように気になっていた
彼女宅でのパーティにて
つい先日、そんな彼女にまた料理を振る舞う機会があった。
振る舞った料理は
この人だからこの料理を作ったという「理(ことわり)」と
その人に対する強い「想い」
すなわち、自分にとって「理想」という形
「料理とは「理(ことわり)」を「料(はかる)」 魯山人の言葉
僕はさらに、「料理」に、「理想」を載せて、その日全ての皿をスペシャリテに仕上げた。
彼女はとても喜んでくれた
僕の中でひとつの答えが見つかった
「あなたは今、ニュージーランドに来てシェフとして何を感じているの?」
新たな問いに、ある程度誤魔化しつつ応えたものの、彼女はそんな僕の気持ちも分かっていて、つぎ会う時に答えを楽しみにしてるだろう。
ミナミオオスズキ
グルーパー
このあいだ、よく行くスーパーでこんな魚を見つけた
以前多分ブログのネタになったグルーパー。
スズキ目スズキ亜目イシナギ科ミナミオオスズキ
正式に分類するとこうなる、らしい
で、以前のブログで僕は
これは日本の高級魚「本アラ」だ!
と書いたのだけど、よくよく調べてみると(学者がDNA鑑定したらしい。)
「ミナミオオスズキ」と「本アラ」とは近似種ではあるが、違う魚だという事が発覚してしまった、、本アラだと思って喜んでいたのに。笑
※ちなみに「アラ」というと「クエ」の九州地方の呼称だけど、「本アラ」と「クエ」は同じハタ科だが、別種に当たる。でもどちらも相場は同じくらいの超超高級魚。
手早く卸す
プロは一枚足りとも鱗を残してはいけない。鱗落しで落ちない所は骨抜きで抜く。
見た目にそっくりな「ミナミオオスズキ」と「本アラ」 。気になる味はというと
刺身、多分この日水揚げされた魚。当日は鮮度よすぎでゴリゴリ。まだ物足りない旨味であったので、数日寝かせた。
程よい旨味がある。上品な感じで臭みもない。腹の部分は程よい脂乗りで美味しかった。
写真ミスって消してしまったのでインスタのスクショ。笑
皮下のコラーゲン質が良い感じ。身は特に筆頭すべき点はないかな・・・
ただ、もっと寝かせるべきではあった。
西京焼き
1日半西京漬地に漬けておいたが、少しパサつく。
嫌味のない味。美味しいかと言われると、まあ、普通。
※ごめんなさい
普通の煮付けの方が美味い
と、色々作ってみた。
どの調理法でもいい意味で癖は感じず、あっさり上品な感じ。
このグルーパーはドレスの状態で3キロだったので、頭も合わせたら恐らく4.5〜5キロくらいの個体だと思う。
もっと大型になるらしいので、これもクエや本アラみたく、大きければ大きいほど美味いのかも知れない。
インスタでも随時料理の写真や酒など更新してるので気になる方はフォローしてみて下さい☆
此処(今)へ来て思うこと
残すところあと1ヶ月弱
こんばんは
ニュージーランドへ来て
もうすぐで1年、間もなく帰国です。
ありがたい事に、1日1日濃くて充実した日々が多かった。でも振り返るとやっぱり一瞬で過ぎていったように感じた
20代なんか、まさにそんな感覚で、気付いたら「あれ?もう40かい」みたいな感じかな。ベタやけど
今日もさっき起きたと思ったらもう夜やもんね。
それは言い過ぎか。
ただこういう感覚はある意味自分を急かす事もできるので、時間が過ぎるのはあっという間だぜ。と自分に言い聞かせる。
ただ過ぎ去る日々に
なんとなく
もう〇〇歳かぁー
なんて事しか思えないのはあまりにも、もったいない
もう〇〇歳なんだなー
?
つまりどういう事や
って
最近はその問いに気分次第では投げかけてみたり、投げかけなかったり、、
春の新芽を見て想い、耽る。
.......
繁殖期
ウサギもウズラも野を駆け回る
なんとも微笑ましい
羊や山羊の赤ちゃんも産まれて、、
それを見て、「あー、子羊、美味いやろなぁ」
なんて思う僕は救われねえ・・・
ある種、職業病。料理人の性ではある。
・・・・・
魚なんで釣れへんのや
っていう問いの答えは出たが、
打開策が見つからない
釣れる時期まで待つ
これが正解か
もしくは釣れる所に行く
これも正解
問いと答えは無限やね。
パーチ、お前しか釣れへんわ!
庶民感覚
こないだ採ってきた白トリュフを食べてみた
少量なので、余計な味付けは一切せず
トリュフの香りを存分に楽しめるようにパスタにした。他にもオムレツにしようかなとか考えたけど今回はパスタで落ち着いた。
タルトゥーフォ・ビアンケット
言わずと知れた世界三大珍味
スライスした時の香りが凄い!
で、食べてみると
・・
サクサクッじゃなし、
シャキシャキっ
でもない・・でもこれらに近い食感の後に
分かりやすく言うと
鼻から香ってみるとニンニクに似た香り
口の中ではマッシュルームを濃縮したような香りが広がる、、
うーん
庶民感溢れる表現。ボキャブラリーの貧しさ
いや、でも
ほんとにそんな感覚でした。
1キロうん十万かあ・・
ちょっとこれに関しては
多分美味しい食べ方ができてなかったんだと思う。白トリュフちょっと乗ってるだけで一皿数万円とかザラでしょ
じゃーもっと美味しくなるんだろうなあ・・
またご縁があれば、、やね
次は日本でイボ西洋松露を探してみよう。
大人味
旅
本当に色々ある
引き寄せているのかも。
良きも悪しも
2泊3日旅行でも
一ヶ月の旅行でも
たくさんの出逢いや、気づき
その場その場で出来れば綴りたい事もたくさんあるけど、
結局いつも忘れて自分が衝撃だった全てのシーンを言葉に思い残す事は難しい
今回はクイーンズタウンからクライストチャーチへの小旅行だったけど、
20匹釣れる予定?のサーモンは一尾も、ほぼアタリすらなく、、
廃墟みたいな宿に泊まり..
..
おっと
悪い事は書かないでおこう。
その代わり
トリュフ狩りに出かけて
予定外の白トリュフが採れた!
たしか品種がタルトゥーフォ・ビアンケット
ひとまずパック保存したらパックを開けた瞬間ほんと凄い香り。
場所はクライストチャーチから車で1時間程走ったところにライムストーンマウンテン?ヒル?という谷があるんだけど、
そこのライムストーンっていう石のアルカリ成分が高いらしく、トリュフが育ちやすい環境を作り出してるらしい。
勿論、その石だけじゃなく色々な条件が重なってトリュフはできてる。
今回はツアーに参加して(ていうか参加しないと絶対に探せ出せない)トリュフの発生条件とかの話も聞けて楽しかった。
なお、今回はヘーゼルナッツの木の下での収穫。時期ももう終盤みたいでなかなか採れなかったけど、一番高価な白トリュフ(ビアンケット)が取れたのはラッキーだった。
でも買取になるのでそんなに採れすぎてもやけど、、笑
白トリュフ(ビアンケット)kgあたり30万円〜50万円
採れたての香りを知ると、日本のレストランで出るトリュフはただの飾りだよ。笑
タルトゥーフォ・ビアンケット
白トリュフにも何種類かあり
今回は多分この種だった。
トリュフにも黒白は知っての通りだけど、その中でもかなりの種類があるので詳しい事は分からない。
トリュフしかり、
魚しかり、ラムしかり
ほんとにフレッシュな物を食べたり香ったり・・
今、熟成という言葉が
やたらもてはやされているけど、
なんでもやり過ぎはダメだとつくづく思う。
でも
このトリュフはしこたま堪能する予定・・
5gしかないけど。笑
ライムストーンマウンテン
谷底にはワイパラリバーが流れる。有名なワインの産地でもある
■
釣り人の聖地
ニュージーランドに着いた当日
遂にニュージーランドで釣りができる!
そんな想いを胸に、ウーフ先のホストファミリーの家に二週間ほど、お邪魔した。
なんせ英語ができなく、意思疎通もままならなかったので
迷惑かけたくないと思い、
せめてもの思いで料理はしようと思っていた。せっかくなら自分で釣り上げた魚で。
数日間通って
釣り上げた一尾。
綺麗なメス
この日のディナーは皆んなさぞ喜んでくれたし、僕自身人生で忘れられない日になった。
あれから早10ヶ月
コンスタントにトラウトを釣る術を習得できた。湖ではどういうところに魚がいるのか、
川ではどの瀬に魚が着きやすいのか。
そしてついに、
世界最大級が狙えるポイントへやってきた
一緒に行ったトシ
2日目雨が降り、餌を投げて車で待機する。
10キロクラスのサーモンやトラウトが・・・!
二日間朝から夕方まで、
自分の技術と、道具と、知恵と
駆使して挑戦したけど
お魚さんの都合が悪かったようで、
ほぼ、なんの反応もなく夢の二日間は終わった。
やりきった。
ボウズでも
やりきった、そんな時もあるし
それだからこそ釣れた時の感動は手足が震えるほどデカい。また挑戦しよう
って
考えられるようになったのは
ここ最近の話・・
考え方が大人になったのか
何か俺も魚みたいにスレちゃったのか
分かんないけど、
また震えが立つほど夢のある魚に近々出逢いたい。